2023/08/10
縁(えん)ちゃんのひとり言 ~「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に行ってきました~2023.8月号
皆さん、こんにちは『縁ちゃん』ことメテックス建築事務所 遠藤です。
近年各所で起こった自然災害で被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。
先日、東京国立近代美術館で開催されている「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に行ってきました。2002年にスペインに旅行した際に本物を一度見た事もあり、サグラダ・ファミリアのその後は気になっていたところに今回の展覧会でしたので、会場は東京でしたが行ってみました。「未完の聖堂」といわれるように作りながら修復を繰返す、完成しない大聖堂はミステリアスというか、この世の不思議というかその存在自体がロマンたっぷりの物語になっていますね。作者は言わずと知れた『アントニ・ガウディ』です。
同じというには少し気が引けますが、同じ建設業に従事する者としては、竣工(完成)があって初めて計画があると思うのですが、竣工のない仕事というのは普通では考えられないですよね・・・(笑)
一応ガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定といわれていますが、新型コロナの影響でスペインがロックダウンし工事が止まった事、重要な資金源になっているチケット収入が激減したことから、2026年の完成はほぼ不可能だといわれているそうです。
バルセロナ市のシンボルでもあるサグラダ・ファミリアの計画が始まったのは1882年3月といわれています。ガウディの作品としてあまりにも有名ですが、実はガウディはサグラダ・ファミリアの二代目の主任建築家だったようです。今回の展覧会で初めて知りました。ガウディ31歳の時のお話だったようです。初代の主任建築家が意見の対立から仕事を放りだした事からチャンスが廻ってきました。その時にガウディは「10年で完成させる」といったそうです。いろいろな諸問題が出てきてそれは無理になり、今日に至っているようです。もしガウディでない建築家が仕事を放り投げていなかったら今のサグラダ・ファミリアはどうなっていたんでしょうかね・・・?(^^;
ガウディは独特の意匠がピックアップされがちですが、実は非常に勉強家で建物の構造に関しても独自の考え方を持っていました。ガウディの建築物は構造を支える柱が非常に少ないといわれています。その為どの形が安定するのかと、紐にいくつものおもりを垂らして重力によって出来た「フニクラ(逆さ吊り模型)」を使っていろいろな構造を考えていたそうです。時に職人に「これでは持たないのでは?」といわれると、自ら現場に行き安全の証明をしていたそうです。独創的なデザインだけでなく、やはりちゃんとした裏付けがあったんですね。今回の展覧会ではその辺りの模型もあり、非常にビックリしました。
ガウディ生前の図面というのは、ガウディ没後10年で起こったスペインの内戦で全て消失してしまったそうですが、ガウディ自身はこの模型を重要視して設計していたために、図面は役所に届ける必要最小限しか書かなかったそうです。その為、今の工事は焼失を逃れた数少ない資料を手掛かりにして進められているそうです。
展覧会のラストは、ドローンを使った高い所も間近に見える映像で締めくくります。ドローンは非常に便利なツールで、現在138mといわれるサグラダ・ファミリアの塔のてっぺんや工事風景を映し出していました。最終的に約170mになるといわれているメインの「イエスの塔」の工事進捗(しんちょく)も見れて感慨深いものがありましたが、職業病でしょうか?一番最初に目についたのはイエスの塔の現在のてっぺんに置かれた「仮設トイレ」でした。そりゃそうだよな、その都度下まで行っていたら間に合わないよなぁ~って(笑)
2002年に見学した際には、2021年に完成したてっぺんに星が付いている「マリアの塔」や「イエスの塔」は影も形もありませんでした。それでも桁違いなスケールと圧倒的な存在感でした。光陰矢の如しといいますが、20年ってそういう年月だよな、年を取るわけだ・・・と感慨深く思いました。
2002年に見学した際に一番印象に残っていたのは、イエスキリストの幼少期を物語にした「石の聖書」と呼ばれる外壁の彫刻でした。あまりに素晴らしすぎて、何故こんな事出来るんだろうとビックリしたのを思い出します。いまこの彫刻の主任彫刻家は「外尾悦郎」さんという日本人が務めています。TVでも見ましたが、なかなかの情熱家でガウディとサグラダ・ファミリアに魅せられた日本の誇りですね(^O^)/
サグラダ・ファミリアの地下にガウディ博物館のような所がありましたが、そこにはサグラダ・ファミリアの最終完成図の立面図がありました。「えっ、あの塔の両サイドにまだあの高さをはるかに超す塔が出来て、センターにはその塔をはるかに超す塔が出来るんだぁ~」と。それが「マリアの塔」「イエスの塔」なんですが、実は20年前に旅行から帰った後に特に狙ったわけでもなく、たまたま「ルパン三世」のDVDを見ました。「ルパン三世~お宝返却大作戦!!」
実はこれはサグラダ・ファミリアが舞台になっています。ガウディが生前完成させたのは東側の1塔のみなんですが(実話)、その塔にトリックダイヤをはめ込むとお宝が出てくるという話なんです。最後にサグラダ・ファミリアの完成形が光り輝いて出現すると、ルパンが「これがガウディの夢さぁ、さすがの俺様もこいつぁ~盗めない」といって締めくくる話なんですが、作者のモンキーパンチさんは当時、この最終形を知っていてこれを書いたのかと思ったら、実物を見た後だっただけに妙に感動したのを思い出します。
ガウディの意志は後世にも受け継がれています。新宿駅の西口に「モード学園コクーンタワー」という新宿の象徴のような独創的な建物があります。丹下健三氏の作品ですが、この建物の曲線美もガウディの影響といわれています。丹下健三氏でひとつ笑い話がありますが、私の叔母は生前お掃除等の家政婦のような仕事をやっていた事があります。ある夜、叔父から「良二、お前も建築士なら丹下さんという建築士知っているか?有名らしいぞ!!」とTELが入りました。最初は「丹下さん?建築士?」と誰のことか分かりませんでした。「今日、叔母ちゃんが仕事をやらせて頂いたお客さんらしいんだけどなぁ」と。ハッと思い出したように「もしかして東京都庁を設計した丹下健三さん?」と聞くと「そういえばそんな事言ってた・・・」「そういう人は建築士じゃなくて建築家」っていうんだよと話しました。凄い人の家に行っていたのに知らないとこんな感じなんですね(笑)
サグラダ・ファミリアの完成を見届けられるよう、長生きしないとなっ!て思いました。
今月はここまでです。最近凄く暑い日が続きます、皆さんお身体ご自愛下さいませ。
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(株)メテックス建築事務所 遠藤良二