縁ちゃんコラム

enchan's column

2023/03/10

縁(えん)ちゃんのひとり言 ~最近凄くハマっているTV番組「リバーサルオーケストラ」を観て~2023.3月号

皆さん、こんにちは『縁ちゃん』ことメテックス建築事務所 遠藤です。

近年各所で起こった自然災害で被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

実は最近凄くハマっているTV番組があります。お正月からスタートした「リバーサルオーケストラ」という連続ドラマです。その名の通りあるオーケストラを題材にいろいろ展開していく音楽関連のドラマなんですが、久々に夢中になってのめり込んでしまっています。

以前にもお伝えしたかも知れませんが、私は高校の部活で器楽部(オーケストラ部)に所属し、フルートを吹いておりました。また3年生の時には指揮者も経験させて頂きました。今の私の体格、風貌から「フルートを吹いていた」と言うと、たいていの先輩たちには「フルートではなくホラを吹いているんだろっ」といじられますが・・・(笑)

フルートも指揮者も本当に担当させて頂いていました(^^;   *写真参照(大笑)

リバーサルオーケストラというドラマは「西さいたま市」という架空の町が舞台で、市の音楽の街づくりという構想に地元オーケストラが関わっていくというストーリーになっています。静岡市でいえば「静岡フィルハーモニー管弦楽団(通称:静フィル)」のような感じでしょうか。

オーケストラの名前は「児玉交響楽団(通称:玉響(たまきょう)」。ドラマは4か月前まではバラバラだったポンコツオーケストラ玉響が最高の舞台まで上り詰めていくという物語です。その過程で楽団内で起こる団員の人間関係や家庭内の問題や恋愛。それを楽団の仲間たちが愛情や友情で解決していく、笑いと感動ありのなかなか面白い内容になっています。キャストも面白くて、主人公の「谷岡初音」役を門脇麦さん、マエストロ(指揮者)「常葉朝陽」役を田中圭さんが務めています。このドラマでとにかく驚いたのは、門脇麦さんのバイオリンの演奏なんです。以前あるドクターにTVに出ていた研究者をみて「この人は素人だよ!」と言われた事があります。「先生、何故そんな事が分かるんですか?」と尋ねると、「ビーカーやフラスコ、試験管へのスポイトの持ち方が全然違うんだよね・・・」と言われたことがあります。「遠藤さん達も、金槌(かなづち)の持ち方やはさみの使い方に違和感があるとわかるでしょっ!」とも。

実は楽器演奏もそれと全く同じで、やっていた人か本当に詳しい人しか分からない事がいっぱいあります。トランペットやトロンボーン、ホルンのような金管楽器、クラリネット、サックス、フルート、オーボエのような木管楽器に分けられる管楽器といわれる楽器は、木管、金管の各々である程度吹き方が共通しています。一番大事なのは「アンブッシュア」といって「口の形」といわれています。これは経験者なら「なつかしぃ~~」なんていわれるかも知れませんが、吹奏楽(ブラスバンド)部等では徹底的に先輩に鍛えられるところなんです。最初はマウスピースという音を出す楽器の先端部分だけで何日も何日も練習をさせられます。その時にアンブッシュアを確立していくわけですが、これがなかなかしんどいんです。2ヶ月位はそれだけだったかも知れません。でもそこでちゃんと音を出す基本がマスター出来ないと楽器の運指、つまり「ド・レ・ミ・ファ」には進めないんですね・・・(笑)

昔の進軍ラッパとか消防隊員が吹くラッパはピストンと呼ばれる運指が付いていません。つまりドレミファがついていないんです。でもあんなにいろんなメロディを吹けるのはアンブッシュアを操作して上手に吹いていた事になります。ある意味めちゃくちゃレベル高い芸当だと思います。

話を戻しまして・・・。ドラマの中でも管楽器奏者が出てきますが、やっていた我々が見てもかなり本当に近いか、楽器経験者がキャストに選ばれているのか?と思うレベルです。キャストに対する楽器の指導者がいるとは思いますが、プロ意識というか、役者魂というか本当に凄いなぁと思って観ています。

実はその究極が門脇麦さんのバイオリンなんです。バイオリン、ビオラ、チェロ等は弦楽器と呼びますが、弦楽器の難しさは管楽器の比ではないんです。賛否両論あるかと思いますが、私はそう断言します。弦楽器はご存知の通り弓で弦をこすって音を出します。ピッチカートといって弦を指ではじいて音を出す奏法もありますが・・・。

アーチェリーや弓道は「弓矢(ゆみや)」を使って競技しますが、弓矢の事を英語で「Bow&Arrow」といいます。Bowが弓でArrowが矢です。バイオリン等の弦楽器は弓を使って弾くので、弓の動作を「ボウイング」といいます。オーケストラで演奏する楽曲が決まると、まずコンサートマスターを中心にボウイングを揃えます。弓は引いても押しても同じ音が出るからです。一人は引いて、他の奏者は押していたら見た感じがカッコよくないですよね・・・(笑)

特にバイオリンは楽器本体と弓の持ち方から始まって、ボウイング、運指までとなると、初心者が音をちゃんと出せるようになるまでは、それはそれは時間がかかります。バイオリンは顎だけで楽器を固定し、手を添えなくても落ちないように持たなければなりません。私が通っていた高校はブラスバンドでなくオーケストラでしたので弦楽器奏者のほとんどが初心者でした。私も先輩にバイオリンを持たせて頂きましたが、これがなかなか難しく全然固定できないんです(笑)

ボウイングは簡単そうに見えて本当に難しく、同じ部活の仲間でも「こいつら凄ぇ~~なぁ」と思ったもんです。弓が滑り出すと弓に松ヤニを付けて摩擦が起きやすくして演奏します。その上での運指、ドレミファなんです。

その大変さを考えると、門脇麦さんは少なからずたぶん経験者ではないかなと思いました。経験者だったとしてもあの演技は最高に素晴らしいと思います。演奏している曲が「チャイコン」といって「チャイコフスキー バイオリン協奏曲」だったりするからです(≧▽≦)

ソリストがソロをオーケストラと演奏する曲を協奏曲といいますが、その事を「コンチェルト」といいます。だからチャイコン!本当にめちゃくちゃ難しい曲なんです

(≧▽≦)。それをよくありがちな指先だけ映すようなダミーは一切無しで撮影をしています。凄い練習量だと思います。女優魂、プロって本当に凄いですね!

結びに、オーケストラでは一番最初に全体でチューニング(音合わせ)をします。オーボエが「A(ラの音)」を出しみんなが合わせていきますが、その瞬間がなんか懐かしくて、なんか嬉しくなりました(笑)

マエストロ(指揮者)役の田中圭さんの指揮もなかなか様になっていて、カッコイイと思っています。「カルメン組曲」は最高に良かったです。「ウイリアムテル序曲」が演奏されましたが、その楽曲は自分が高校の定期演奏会で指揮を振らせて頂いた楽曲でしたのでちょっと感激してしまいました。私が当時使ったタクトはまだ大事に保管してあります。リバーサルオーケストラ、もうすぐ最終回ですが昔を思い出しながらマニアックな見方でもう少し楽しまさせて頂きます(笑)

今月はここまでです。皆さん季節の変わり目ですから、お身体ご自愛下さいませ。

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